グリホサートの問題も鈴木宣弘教授からはじめて情報を得たと思いますが、これはホームセンターでよく売られているラウンドアップという除草剤にも含まれていて、非常に一般的な商品です。これが人体に悪影響を及ぼす可能性があるのです。もともとアメリカのモンサント社(ドイツのバイエルが買収)が開発した除草剤ですが、日本では日産化学工業が販売しています。この除草剤が生まれたことで農家の雑草除去は格段に楽になったということです。しかし、ヨーロッパを中心に販売を禁止している国が多くあります。ルクセンブルク、ドイツ、オーストリア、チェコ、フランス、マルタ、メキシコ、フィジー、トーゴ、フランスが禁止しています。こちらの農民連のページを参考にしました。https://www.nouminren.ne.jp/old/shinbun/202008/2020081008.htm
販売元や日本政府は安全性が確認されているとしています。
グリホサートの危険性については、発がん性が取りざたされています。こちらも販売元は発がん性はないと明言しています。しかし、基本的に利益を追求する販売元の意見だけを聞いて安心するということはできません。より客観的なデータが必要です。世界の専門家や規制機関がグリホサートに発がん性は無いと結論している他方で、世界保健機関 (WHO) の下部組織である国際がん研究機関 (IARC) が、2015年3月にグリホサートをグループ2A「ヒトに対しておそらく発がん性がある」に分類しました。
こちらのページで確認できます。
グリホサートの残留はアメリカ、カナダ産の小麦に含まれていることがあり、日常食べているパンなどにも含まれます。その量がどれほど人体に影響があるのかわかりませんが、長年の食習慣で蓄積されるとどうなるのでしょうか。アメリカでもカルフォルニア州で問題化され、モンサントと訴訟になりました。仮に本当に発がん性がなかったとしても、別の問題があることを指摘します。それは、グリホサートは除草剤であるため、作物自体を除草してしまうことがあります。そのためグリホサートに耐性のある遺伝子組み換え作物を栽培する流れになります。この遺伝子組み換えは安全なのかということです。これは別で検討したいと思いますが、グリホサートの問題は遺伝子組み換えの問題と密接に絡み合っているということは理解しておく必要があります。
次にネオニコチノイドの問題です。こちらは除草剤ではなく殺虫剤です。90年代から導入され始めました。神経撹乱をさせる物質で、虫が活動できなくなります。ミツバチが巣に帰れなくなり、大量死するなどの問題がありました。人間に急性の薬害がありません。しかし、この神経撹乱が人間にも影響を与え、発達障害の原因になっているのではないかという研究があります。わたしは農業以外に発達障害についても関心があるため、非常に注目しています。
ネオニコチノイドの特性として水溶性で植物に吸収されやすいということがあります。これは土壌や川などにも浸透しやすいということを意味します。植物の内部に滞留するため、表面を洗っても落ちません。分解されにくく、長期間にわたって自然界に残留します。これが人間の神経をも撹乱するなら大いに問題です。
EUではネオニコチノイドは2018年に屋外での全面禁止となりました。
ところが日本では今でも使用され、むしろ2015年より規制が緩和されています。
農薬の問題は、グリホサートとネオニコチノイドだけではありません。また、農薬と遺伝子組み換え、ゲノム編集作物の問題は密接です。こうしたことの情報を隠蔽するのでなく、第三者の検証をもとに公開し、消費者が判断できるようにすべきです。食品の表示もより明確なものにする必要があります。
日本産の作物は外国産より安全だという神話はとっくに崩れています。これを是正するためには、わたしたち消費者が農薬や食の安全性への意識を持つことが大切です。